冬に旭川で起こった
軽くふわふわの雪が宙を舞い、冷え込む旭川空港。
駐機する2機のJAL機。
<注意>当記事はあくまでも体験記です
ここから先は作者が、体験した記録や当時アナウンス・発表されていた情報をもとにした考察が多く含まれます。また、考察に限らず推測も含まれますのでご注意ください。
考察や推測・推定はなるべく何か根拠となるものとともに提示するよう努めておりますが、情報が不十分、誤った考察などがある場合があります。また、当記事は航空会社や航空機技術関係の物ではなく、あくまでも体験記とともに考察をお届けしているものです。ここで取り扱っている情報は参考になさらずご自身で各機関の情報をご確認ください。
状況を説明
いきなり話をし始めても訳が分からないので、まずはどんな状況だったのか、説明いたします。
ある日15:15頃JL555便で旭川空港に到着しました。すると、エプロンに自機とは別のJAL機が見えました。えっ?と思い、調べてみると羽田行き定刻13:10発のJL554便が整備のため、出発に遅延が生じているとのこと。
国際線がまだ戻っていない旭川空港では、通常この時期だと最大2機エプロンに駐機している状態が見られます。
しかし、同じ航空会社の航空機が2機以上旭川空港に駐機している状態は、飛行機が定刻通り飛んでいる限り見ることはありません。<定刻で飛んでいる場合>
旭川空港にJAL機とJAL機、またはAIRDO機とAIRDO機がいることは基本ない。上の図のような状態は通常時には起こらない(同じ航空会社の機体が2機以上あること)。しかし今回の場合、前で説明した通り、JL555便の折り返しとなるJL556便の前便JL554便羽田行きが整備のために遅延が生じ、2機のJAL機が旭川空港で対面ということになったのです。
つまり、通常では起こらない珍しい状態になった
一体なにが
まだ何も知らない
このあと、珍しい場面に遭遇することはもちろん知らずに、羽田13:40発の旭川行きJL555便に乗り込みました。
アナウンスによると旭川まで、飛行時間は1時間15分を予定していました。
お昼を過ぎ、夕方にかけて日が傾き始める時間帯で、窓からは朝一の便を思わせるような、強くまぶしくあつい日の光が差し込んできていました。
座席は前方よりに座っており、位置関係でいえばエンジンより少々前方になり、旭川空港着陸時には迫力のあるリバースを楽しみにしていました。
時はあっという間に過ぎ、降下を開始し、雲を抜けると北海道の真っ白に染まった大地。そのあとすぐにタッチダウンです。
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JL555便は旭川空港に着陸しました。
タッチダウン後、8秒ほどで逆噴射装置かなにかが作動するような「クィ~ン」という音が聞こえ、その約4秒後ぐらいには反対側の右側のエンジンは逆噴射をしている大きなゴォーーという音が聞こえました。
恐らく、この時点で右エンジンは逆噴射を正常にしていたと考えられます。
しかし、
ポートサイド側ではスポイラーが作動していることはしっかりと確認できるものの、画像の通り左エンジンのエンジンカバーが開かない状態となっていました。
はじめは、(あれ、この席逆噴射見えなかったっけ?)と思ったりしましたが、よくよく考えてみれば、滑走路面に割とパウダースノーともいわれるふわふわの雪が積もっているわけですから、エンジンカバーが開き、空気の通り道が変わり、後ろへ出ている空気がせき止められれば、迫力のあるシーンが見えているはずです。
このあと、無事に止まれる速度まで減速しましたが、減速後タキシングに移るまでに普段と違った感じがしました。
実際に停止はしていませんが、タキシング速度に移るときに『ガクン』と、電車の急停車のような軽い衝撃がありました。
通常であれば、多くの場合減速後そのままの推進力で滑走路を離脱し誘導路に入るかと思いますが、今回の場合、その前にそのまま停止するんじゃないかぐらいまで速度が下がり、恐らくブレーキがはずれた衝撃で少しガクンとなったのかと思います。
その後CF6のいい音を響かせて少し加速しながら滑走路をあとにしました。
また、減速後一番近い誘導路までは少し距離があり、その間に上の画像のようなことが起こりました。このときは、通常のように一度スポイラーが閉じ、タキシングをし始めたあと、再びスポイラーが開きエンジン・翼付近で雪が舞いました。エンジンの詳しい仕組みは知らないのであまり下手なことは言えませんが、この時逆噴射装置かなにかが作動するのかを確かめたのかなとも考えましたが、詳しいことはわかりません。
着陸からここまでで考えられることとしては、左エンジンの逆噴射装置が正常に作動しなかった、もしくは、エンジンカバーが開かなかっただけ。また、コックピットではそのことに気が付いていたのか、通常より減速率が悪かったことを分かっていたのか、詳しいことは分からず、あくまでも個人的な予想になってしまいますが、安全を優先しとにかく止まるため、ブレーキをかけたことにより、先述した『ガクン』という軽い衝撃で通常よりも減速したと考えられるかと思います。
しかし、この上の段落で話した内容は、当時体験した様子と予想から書いたものです。実際どんなことが機体に起きていたのか、コックピットで何が起きていたのかはわかりません。
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駐機場へ向けてタキシングを続けると、旭川空港のエプロンが見えてきました。すると、なにやら奥に今乗っているのと同じJALの767がいるではありませんか!
(ん?臨時便でもあるのか?)と思い、JALの運航状況を調べてみました。すると、
飛行機の整備のために出発に遅延が生じています。
それにしても、遅れすぎではないかと。
定刻 13:10 ー 15:00
状況 17:00(出発予定) ー 19:20(到着予定)
とのことで、羽田行きのJL554便は定刻より3時間50分遅れの予定となっており、まだ出発を待っている状態のようです。
そして、今乗っているJL555便はスポットに入ろうとしています。飛行機が停止するまでの間、いろいろなことを考えました。
実は乗ってきたJL555便の折り返し便であるJL556便に搭乗しそのまま羽田へ戻る予定でした。しかし、JL556便は遅れているJL554便よりも定刻通りであれば45分早く出発することとなっており、きっと既にJL556便に振り替えている人も多くいるだろうなと思い、(混むのはいやだなぁ)と思いながらひとまず、JL555便は無事に旭川空港3番スポットに到着しました。
○JL555便の折り返し便JL556便の前便であるJL554便が遅延していた
○JL554便が約4時間遅れ
○現時点ではJL556便の方が遅れているJL554便より出発も羽田到着時刻も早い
○JL555便の折り返しJL556便で羽田へそのまま戻る予定
○JL554便からの振替客を恐れた
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(さぁ~てどうしよう)と思いながら、乗ってきたJL555便をあとにし、ひとまずは旭川空港に足を踏み入れました。
JL556で帰るにしろ、他の方法をとるにしろ、まだ少し時間はあるので、ターミナルから氷点下のターミナル外へ出て頭を冷やすことに。
この時の考えたこととしては、まずJL556便の座席指定画面をチェックしてみました。そうすると、やはりはぼ満席(恐らくほぼではなく最終的には満席で飛んだと思いますが)になっており、(混んでるのはいやだなぁ)という気持ちと(遅れていて大変な状況の方々と一緒に乗るのはなんか申し訳ないなぁ)とも思い、きっと振替措置はすでにとられているんだろうなということがこの時点でしっかりとわかりました。
そして、振替がされていなくても、もともと混んでいましたので(JL556便が)、きっと振替を希望する全員が振替をできているわけではないだろうなぁということも考えました。
そこで、カウンターで逆振替ができないか聞いてみることにしました。
逆振替は勝手に呼んでるだけですが、振替対象ではないJL556便の航空券を、JL554便からJL556便に振り替えたいという人のための席を空けてあげるために、JL554便の航空券に変更してもらいに行ってみることにしました。
つまり、通常では変更不可な運賃で購入した航空券ですが、特別な状況のため、そして時間の余裕があったため+JL554便でも羽田到着時間はあまり変わらないので、変更してもらえないか確認することにした。
カウンターで、556便に乗る予定なんですけど、554便でもいいので振り替えていただけるのであれば、振り替えていただけないでしょうか、とお願いしてみたところ、ありがとうございますと快諾していただいた。
逆振替は成功し、旭川空港での滞在時間が約1時間程増えた。
○JL556便からJL554便へ振り替えていただいた
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振替が無事完了し、ターミナル内をぶらぶらしていると、JALからアナウンスが入った。
定刻16:15発羽田行き556便はエンジンの逆噴射システムのトラブルにより出発が少々遅れる見込みです、といったような旨のアナウンスだった。
先ほど状況①で起こったことに関する整備に時間が必要になったのでしょう。
便を振り替えされた方々の気持ちを考えると、大変だなぁと思うところがありますが、安全が第一です。
JL556便は定刻が過ぎ、出発時間は定刻より20分遅れの16:35になっています。定刻通りでも、変更後でもすでに保安検査締切時刻は過ぎています。
しかし、JL554便の出発まではまだ少し時間があり、変更された出発時刻も17:00から変わることはなく、17:00には出発ができそうです。
○JL556便は既に保安検査締切時刻を過ぎている
○JL554便の出発時刻に変更はなく17:00に出発できそう
展望デッキへ移動。旭川空港は展望デッキがしっかりとあり、冬期間でも開放していてくれます。
風は吹いていますが雪はやみ、視界が良くなりました。画像左がJL554便、右がJL556便という状況です。
左の航空機は旭川に到着して既に4時間程が経過しており、”JAPAN AIRLINES”の文字が一部かくれ、頭に雪が少し積もっています。
奥の逆噴射システムにトラブルがあったという航空機はスポイラーが上がった状態で駐機しています。
多くの場合、旭川空港国内線で奥のスポットを使用することは少ないかと思いますが、奥にいるJL555便が旭川に到着した際には、本来いないはずの航空機がスポットを使用していたので、急遽奥のスポットを使用することとなったのでしょう。
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その後、ラーメンを食べたりとゆっくり過ごしていました。保安検査を受ける前にもう一度JALのアプリで運航状況を調べてみました。すると、
定刻 16:15 ー 18:05
状況 17:15(出発予定) ー (-)
となっており、状況④では定刻より20分遅れで済んでいたところが、さらに40分遅れとなりました。
ここで、結局JL556便よりJL554便の方が旭川を早く出発することとなり、JL554便からJL556便に振り替えられた方の中には大変だった方もいるのではないかと思いました。
先ほども説明した通り、JL556便は1回目に変更された出発時刻での保安検査締切時刻が過ぎた後にさらに遅延が発生するという事態になったので、恐らくもうJL554便に変更することは不可能だと考えられます。
複雑なので図で説明します↓。
その後、両便ともに図に表示してある最終的な変更時刻で出発となりました。
16:15(定刻) → 17:15
○遅れているJL554より遅く出発することに
旭川を抜け出す
約1時間30分の滞在でいろいろなことがありましたが、保安検査締切時刻が近づいてきたので、保安検査をくぐることにしました。
保安検査を通過後は、まだJL556便が出発していないわけですから、たくさんの人が出発を待っていました。
遅延の理由は
羽田へ向かっているフライトの途中、キャプテンよりアナウンスが入りました。
とのことで、JL553便として旭川へやってきて、JL554便として羽田へ戻る予定だったこの機材ではナビゲーションシステムの不具合があったとのことで遅延していたようです。
もう片方のJL556便として羽田へ戻る機材に関して、「飛行機の整備のため」以外詳しい理由はわかりませんでしたが、旭川に着陸した時の様子や、旭川空港でのアナウンス、駐機しているときにスポイラーが上がっていた様子からして、恐らくですが逆噴射装置関連の不具合があったのではないかと考えられます。
JL554便の機内は至って普段のフライトと変わることはなく、とても落ち着いた雰囲気が流れていました。
キャプテンからのアナウンスでも何度も申し訳なさそうに遅延に関して謝罪のアナウンスを入れていました。しかし、ここから思うこととしては遅延は仕方ないものですから、乗客乗員ともに心に余裕をもって動く必要がある、そして乗客にも時間に余裕を持つあらゆる事態を想定すること求められ、これが大切だということです。
両機ともに無事帰京
結果、旭川から羽田へ出発しようとしたら不具合が見つかり、そろって整備をしていたJALの767ですが、両機ともに無事羽田空港へ到着しました。
JL554便は約4時間20分遅れでブロックイン。JL556便は約1時間30分遅れでブロックイン。
どんな感情を持っていた乗客がいようと、快適に、安全に目的地まで乗客をお届けする、航空会社にとってとても大切なことの一つではないでしょうか。これをしっかりと果すことができていますので、結果オーライだと思いました。
ありがとうございました
なにより、安全に飛べるように、航空機をベストな状態にしてくれた方々に感謝です。
状況はそれぞれで、思うこともそれぞれだと思いますが、安全に飛ばしてくれたチーム・方々への感謝はいつも忘れずに乗るべきですね。
なんだか、珍しい状況に遭遇し、旭川での滞在時間も伸びたので楽しかったです。
この記事は一つに詰まっているので長かったかと思いますが、最後までご覧いただきありがとうございました。
また、小分けに搭乗記なども配信いたします。
参考
1で記載したエンジンの逆噴射に関してですが、日本航空さんがYouTubeチャンネルで紹介していますので載せておきます。
以上