西九州新幹線かもめ
長崎空港から長崎駅まで移動する際、レンタカーやタクシーを使わなければ、リムジンバスを使うことが多いだろう。しかし、他にもバスで大村駅まで行き、鉄道を用いて長崎駅まで移動するなど、様々な方法があるだろう。
2022年9月23日、また新たな手段が生まれた。
それが、『西九州新幹線かもめ』。
長崎空港に航空機で到着後、バスで最寄りのバス停へ、徒歩で新大村駅へ行きかもめで長崎駅へ。
別の記事では、長崎空港から新大村駅までなんとも奇妙な行き方をした体験談を書いております。
かもめ号
新大村駅は新幹線だけでなく在来線も発着しており、新幹線でなくても在来線で長崎へ向かうことも可能です。
西九州新幹線長崎方面の列車は12番線から出発・到着します。ホームの発車標には先発と次発の2本が表示されるようになっています。
(新大村駅についてはこちらの記事で軽く紹介しております)
現在表示されているのは、先発『かもめ51号』と次発『かもめ55号』です。数字に注目すると、51号の次が55号。間の53号が抜けていますが、これはお察しの通り、新大村駅に停車しないかもめ号もあるのです。
かもめ号の本数は多くはなく、19時台の長崎方面は51号の1本のみで、その他時間帯も朝6時台から夜23時台まで毎時1~2本(2023年3月時点)ほどだそうです。
次に時間ですが、新幹線で新大村駅から長崎駅までは約15~16分といったところです。在来線を使用した場合、快速列車のシーサイドライナーであれば約52分、普通列車の場合約1時間31分かかるそうです。在来線の旅をゆっくり楽しみたい場合にはピッタリかもしれませんが、もちろんニーズによって異なるかとは思いますが、これであれば通常運賃にプラスして自由席特急券を購入し、新幹線に乗車する価値は十分にありそうです。
最後に料金ですが、当日購入であれば、新大村から長崎までの乗車券と特急券(自由席)合わせて、大人1名1,630円です。乗車券760円に+870円で利用できます。
指定席利用の場合、通常料金だと乗車券と特急券合わせて2,550円ですが、ネット限定のきっぷ『かもめネットきっぷ』というものを利用することで、乗車券と特急券合わせて2,020円で利用することも可能です。こちらには利用条件がありますので、利用の際はこちらをよくご確認ください。
<ここまでのまとめ>
○新大村駅は新幹線、在来線ともに発着
○新大村駅、午後の長崎方面は1時間に1本
○新大村駅から長崎駅までは新幹線で約15分
○新大村から長崎まで自由席利用の場合乗車券と特急券合わせて1,630円
JR九州によると、かもめ・リレーかもめを使うと、博多長崎間最速1時間20分、かもめネット早特3で購入すると3,600円だそうです。詳しくはこちら。
かもめ51号 入線
それでは、本題に移ります。
19:40、武雄温泉からやってきたかもめ51号長崎行きが新大村駅12番線に入ってきました。西九州新幹線かもめ号に使用されているN700Sは6両編成で、1~3号車が指定席、4~6号車が自由席となっていて、指定席は2+2、自由席は3+2のよくある座席配列となっています。
西九州新幹線かもめ N700S
6両編成 全車普通席
1~3号車:指定席 配列:2+2
4~6号車:自由席 配列:3+2
停車すると、ホームドアと列車のドアが開き、乗車します。少なくとも、この6号車から新大村駅で下車した方はいませんでした。
ホームドアと列車との間には十分なホームの余裕があり、降りる方がいてもうまく入れ違うことができそうでした。
乗車後少しすると、ドアを閉め新大村駅を出発しました。時刻は19:41を過ぎた頃。すでに日は沈み、外は真っ暗です。そのことと、途中トンネルを走行することから今回あまり外の景色は気にしませんでした。
出発
普通車自由席の車内はこんな感じで、やさしいイエローが特徴的な車内。進行方向一番後ろの6号車乗務員室よりのドアから乗車しましたが、6号車にはちらほら人が乗っていました。
ひとまず、自由席の先頭である4号車まで歩いてみることとしました。まず上の画像にもあるように6号車。6号車は、もちろんですが他の号車に比べて定員数が少なくなっています。少し先述しましたが、6号車に乗車していたのは数グループといったところでしょうか。
6号車と5号車の間にはデッキのほかに男女兼用の化粧室が2室、男性用化粧室1室、洗面コーナーが1室備えられていました。
途中5号車には、新大村から乗車されたとみられるグループの方々だけ乗車されており、貸切状態となっていました。
そのまま、普通車自由席の先頭である4号車へ入り、空いている座席に着席しました。
なんだかんだで、まもなく諫早に到着です。
諫早では4号車から降りる人もいなければ乗る人もいませんでした。
新幹線ではよくあることかもしれませんが、駅到着が近づくと、車両上部荷物棚周辺が走行中よりも明るくなっていました。荷物棚に置いた手荷物の置き忘れ防止の役割もあるのでしょうし、実際上に荷物を置いていることを、これなら思い出すんじゃないかと思いました。
普通車自由席の座席
やさしい印象を受けるイエロー。東海道新幹線などでもよく見られるタイプの座席です。座り心地もすごく良いというわけでも悪いわけでもなく、ちょうど良いシートでした。
足元も広く、十分快適に過ごすことができます。今回はとても空いていたため、相席となる事はなく、隣に人が来た際どうなるかはわかりません。
乗車した際にはヘッドレストカバーも全席にかけられていました。
また、当時は座席を回しての利用は控えるようアナウンスがされていましたので、座席を回した状態のレビューもこの記事ではできません。
リクライニングですが、こちらも十分快適でした。肘掛けの先端についているレバーを上げて、倒したり、起こしたりします。
画像の一番手前のC席が最大に倒した状態。画像の一番奥のA席が一番起きている状態です。
一番起きている状態よりかは、少し倒した方が自然と体にフィットする感じで、居心地がよく感じました。
また、多くの方がご存じかと思いますが、
リクライニング時、背もたれがただ倒れるだけではなく、同時に座面が下に沈みます。恐らく、この動作によって背もたれの角度が浅くても、総合的・体感的には多少深く感じるのかと考えられます。このリクライニングについては恐らくニュース記事などで出ているかと思いますので興味のある方はお調べください。
上の画像たちの右側の2枚の画像は、座面が沈んでいる様子です。座面が沈むといっても、背中側の座面が沈み、座面の前側はそのままなので、リクライニングを倒すと座面にも傾斜が生まれます。(下図)
ですから、実際に体験してみると不思議な感じで、座り心地は良いです。
テーブルももちろんついていて、自由席に関しては前の座席背面についているテーブルを取り出す形で、大きさもとても大きいというわけではないですが、決して小さくはなく十分なスペースが確保されているように感じました。
また、テーブル収納時のテーブル横に荷物や上着などをかけることのできるフックも備えられていました。
コンセントも恐らく全席完備、肘掛けの下についています。
ブラインドに関してですが、同じJR九州の800系新幹線などでは、特徴的なブラインドが採用されたりしています。この西九州新幹線N700Sの自由席に関しても、全くの無地というわけではなかったかと思います。知識不足なため何の模様かまではわかりませんが、指定席では唐草模様があしらわれているようです。
その他車内設備に関してですが、客室上の荷物棚以外にスーツケースなどの大型荷物を置いておくことのできるスペースがありました。
<普通車自由席 設備・座席>
優しいイエローが印象的な座席
デッキはもちろん、化粧室、洗面コーナーも完備
客室上部荷物棚有
大型荷物置き場 各車両に設置
東海道・山陽新幹線と同じタイプの座席
リクライニングは十分に快適
テーブル有
コートフック有
コンセント有
終着 長崎に到着
新大村から長崎まではおよそ15分。ゆっくりしていると、あっという間に到着してしまいます。
一度聞くと体に染みついてしまうような美しいかもめのチャイムの後、到着放送が流れました。JR九州のチャイムはどれも良い曲ばかりですが、かもめのチャイムもまた良いものでした。
長崎に到着前進行方向左側、トンネルを抜けると『坂の街』が見えてきます。夜であっても天然の要塞であった長崎の印象的な風景がはっきりとわかります。
長崎駅は14番線に到着。JR九州っぽい号車番号のデザイン。その横には大きな『かもめ』のマーク。この画像の中だけでもいたるところに『かもめ』『KAMOME』の文字が見られます。
車両デザイン
N700Sかもめの『九州らしいオンリーワンの車両』のデザインを手掛けたのは、JR九州ではお馴染み、水戸岡鋭治氏。
流線形の美しいN700S、JR九州のコーポレートカラーの赤と白の塗装が特徴的な車体。
西九州新幹線で使用される編成は6両すべてが電動車で、地域特有の勾配に対応しているそう。また、蓄電池を搭載し、災害や故障時、停電の際にも自力走行ができるようになっているそう。そしてその他にも乗り心地をよくするため揺れを軽減する装置を搭載していたり、逆に東海道・山陽新幹線では搭載されている機器を路線特性に合わせ省略していたりしているそう。九州新幹線と同様検測車両を導入せず、一部編成に検測機器を搭載し、営業列車で検査測定ができるようになっているのだそう。
このかもめ51号が長崎駅に到着した時、他のホームに新幹線はいませんでした。
長崎駅
改札のある地上階へエスカレーターで下ります。乗ってきたかもめは折り返し20:20発かもめ58号博多行きとなるようでした。
その次、14番線から出発する新幹線は、なんと『かもめ64号 門司港行き』。もちろん、新幹線が門司港まで行くわけではありませんが、是非新幹線の行き先表示が『門司港』となっているのを見てみたいですね。
ちなみに、2023年3月時点では長崎駅を出発するかもめ号の最終は23:30発かもめ102号新大村行きだそうです。新幹線は新大村に到着後車両基地に入るのでしょうか。しかし、どのぐらいお客さんが乗っているのか気になりますね。
#1で紹介した通り新大村駅には指定席券売機がなく、かもめ51号が到着する約40分前にみどりの窓口も閉まってしまいます。ですから、今回のような場合で指定席を利用したいとき、列車が出発する40分以上前にみどりの窓口で指定席特急券を購入するか、ネットで予約したきっぷをその他の駅で受け取る、車内で差額を払い指定席に変更してもらうなどする必要があるかと思います。
その点は新大村から乗車する場合は注意が必要です。
外も中も特徴的で魅力が多い、西九州新幹線かもめ。
西九州の地に新幹線が走るまで、とても長い月日がたち、その間に良いことも悪いこともたくさんあったことでしょう。
そして、開業直前や開業後にも様々な意見があるでしょう。もちろんすべての人の望み通りになるわけではないでしょう。
しかし少なからず、この西九州新幹線武雄温泉長崎間が開業したことによって笑顔になった人は多くいるでしょう。
是非、この西九州新幹線かもめが各地に良い影響をもたらすことを願うとともに、この新幹線開業が良いものになる事を願います。
個人的な感想ですが、西九州新幹線かもめはまた乗りたいと思えるような列車でした。とらえ方によってはもちろん単なる新幹線ではありますが、楽しい分に問題はないと思いますので、是非何か楽しみを見つけて移動中も楽しんでみてはいかがでしょうか。
また、西九州新幹線は様々あり、通勤通学のお客さんも乗られているようですし、これからも多くの人に愛される新幹線になってほしいですね。
情報は2023年3月時点
※今回の移動に関しての考察は#1の総括をご覧ください。
以上